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No.73 Kaipa / Inget Nytt Under Solen1976(Sweden)

Kapia
Inget_Nytt_Under_Solen_-_Kaipa
スウェーデンが生んだ北欧の伝説、Kaipaのセカンド・アルバム。1976年名門デッカ・レーベルからのリリース。
 我々日本のファンに広く知られたのは、やはり1990年前後、フランスのプログレ専門レーベル、Museaからのリイシュー以降に違いない。Museaの再発CDには、本編に匹敵する大量のボーナストラックと、綿密な情報満載のブックレットが付いていた。マニアには堪らないサービス精神の産物であった。

さて、Kaipaのセカンドは月面着陸時のNASAの画像を用いたジャケットはずっと前からよく知られていたが、一般に彼らの最高傑作は次の『Solo』と信じられていた。しかし、実際の音はほぼ別物である。
こちらはあくまでもHans Lunden中心のオリジナルKaipaであり、『Solo』は もはやバンド内の力関係が崩れ、最年少のRoine Stoltが主導権を取っている。極端に言えば、別バンドの創作物という気がする。

このセカンドはまだ元々のリーダーであるHans Lunden統治下にある。
しかし先のデビュー作でHansの持ち曲の大半を出し尽くしてしまった感があり、それ以降はおそらくコンサートツアーを消化するのに忙殺されていたのではないか。その上、わずか1年のインターヴァルでスタジオ入りしたKaipaがマテリアル不足に陥ったことは容易に想像できる。
Hansは入魂の自信作として、ここに20分以上の組曲Skenet Bedrar』を投入し、それがA面を占めた。新しい機材も駆使した典型的なシンフォニック・サウンドであり、ひいき目に言っても同年代のEarth and Fireあたりの組曲に匹敵する完成度、つまりインターナショナルな第一線で通用する完成度を誇っている。
 問題は残りのB面だが、これらがまだ楽曲として昇華しきれていない小品のオムニバスなのだ。
しかし、ここで弱冠20歳のRoine Stoltの非凡な才能が図らずも表出してしまうわけである。

ほぼ同時期、日本のファンを魅了した豪州のSebastian Hardieの名曲『Rosanna』と双璧と成す演歌系インストの『Korståg』、そしてかなりラフな造形ながら、ファンの胸をかきむしるようなタイトルトラックの泣きのギター・ソロ。これによって、Kaipaの主役は一躍、HansからRoineに交代するのである。

私も、そんなMusea再発CDを文字どおり「むさぼり」聴いた一人である。
純楽曲のクオリティーは、満を持して自信作だけを並べた前作とは比べようがないほどだが、パーツパーツの煌めきは群を抜いている。
Roineのとてつもない才能を思い知らされる一枚である(その時点ではもちろんThe Flowe Kings以降の大活躍は知らない)。