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No.72 Nova / Wings of Love 1977(Italy)

Nova
The Band - 1977

Novaと言えば、何と言ってもBrand X人脈のオールスターキャストのセカンド『Vimana』が有名だが、実は続くサードの『Wings of Love』も負けてはいない。
やはりメジャーのアリスタからリリースで同時代的に日本のマーケットでも出回ったようだ。
ずっと時代を下って1990年代の始め、大学生の自分も中古レコードを手に入れ、よく聴いていた。

リズム・セクションは一新。アメリカの黒人ベーシストのBarry Johnsonと、元アトミック・ルースターでニュー・トロルスの分家バンドのイビスでもそのハイセンスなテクニックを発揮した英国人ドラマー、Ric Parnellが加わり、Narada Michael Woldenは何とプロデューサーとして裏方に引っ込んでいる。

西海岸に拠点を移して、折からのファンク、ディスコブームにも乗ってブラックの要素を取り入れて、売れ線を狙う。考えてみると、ほぼリアルタイムでスティーリー・ダンボズ・スキャッグスなどのAOR、ボストンやカンサス、フォリナー等の産業ロックが台頭していた時期だ。
地中海テイスト、英国本流のジャズ・ロック、そして黒人ファンクという、あまりにも領域横断的なNovaのサウンドは先鋭的すぎた。
前作のサウンドをベースにぐっとシェイプアップを図り、メリハリを付けて、しかもポップという、三拍子揃った傑作なのだが、今、改めて聴き直すと、同時代音楽と比べて洗練度がアタマ三つくらい図抜けている。

やはり、Brand Xという英国名門との交流を経たことが大きい。リズム・セクションの切れ味はもう抜群だ。Renato Rossetのキーボードワークは相変わらず職人。この人はこれ以降、ほとんど目立った活動はしていないが、ジャズ・フュージョン界の大物にも見劣りしない、異常なほど冴えたセンスを感じさせる。

そして、何と言っても、この時二十歳を少し越えた若さで既にリーダー格のCorrado Rusticiというミュージシャンの、神の寵愛さえ感じさせるとてつもない才能だ。万事マクラフリンナイズされた超高集積型ギター。クールな色気あるヴォーカル、そしてイタリア・ナポリ、イギリス・ロンドン、アメリカ西海岸という別々の地域カラーをミックスした独特の音楽イデー。この後、ずっと、Narada Michael Woldenのパートナーとして長く活躍することになるのも頷ける。

痛快なハイテクを駆使して、しかもポップで、あくまでもロック。存分に同時代音楽としてメインストリームと交叉する進歩的なフェノメナ。
つくづく良い時代だったと実感させられる、充実の一枚だ。