No.56 Area / 1978 1978(Italy)

イタリアン・ロックの奇跡として名高いアレアの、余りにも有名な最高傑作。この直後、白血病で急死したデメトリオ・ストラトスの遺作、事実上の最終作と言ってもよい。

アレアについては驚嘆すべきエピソードも多い。
とにかく独創的なテクニックは、同時代のメインストリームを遥かに上回っていたというが、例えば、あのジャコ・パストリアスがアレアのベーシスト、アレス・タヴェラッツィのプレイを聴いてのけぞり、教えを乞うたというのを耳にしたことがある。

デビュー以来、ずっとコミュニズムイデオロギーに深くコミットし、政治活動とダイレクトにシンクロした創作活動を続けてきたアレアだが、心機一転、プロのミュージシャンとして純粋に音楽的な追求を図った末に生まれたのが、この名作『1978』であった。
そのすぐ後にメイン・パフォーマーのデメトリオが逝去するのだから運命的と言うよりほかない。
日本では、キングレコードによる「ユーロピアン・ロック・コレクション」の第一期組として廉価でリリースされたので多くの音楽愛好家が聴いて、ぶっとんだはずである。

幸か不幸か、自分も最初に買ったユーロ・ロックのアルバムがこれだった。
デメトリオ・ストラトスの衝撃的なヴォイスは、マウロ・パガーニのソロでの客演で免疫があったとは言え、最初はやはり困惑した。5大バンドなど、王道プログレしか知らない成長段階の感性に、アレアの唯我独尊ミュージックはあまりにも衝撃が大きかった。これをどの文脈で受け止めればよいのかわからなかったのだと思う。

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改めて聴くと、どこをどう切っても孤高の音楽である。プログレというサブカテゴリーに分類されているのも行きがかりに感じるほど、他と隔絶している。特に本作はギターがない分、これがロックというイメージさえも薄い。

その後、アレアの他のアルバムも容易に聴けるようになったが、結局、じっくりと聴き込んだのは、この『1978』だけのような気がする。これを機に改めて残りのアルバムも堪能したい。