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No.49 Bruford / One of a Kind 1979(UK)

Brufordは、UKの分裂劇から生まれた、もう一方のユニットとして、1970年代の英国プログレッシブ・ロックの歩みを少し遅れて追いかけてきた自分にとっては、その最終形態と言うか、最後の結論と言うか、そういう意味でとても重要な存在であった。
実態は、UK結成前のBill Brufordのソロ・ワークの延長線なのだが、当時高校1年生の自分にはUKとの比較というフレームから逃れることはできなかった。UKのデビュー作『憂国の四士』は、今となってみれば改めて奇跡の傑作だが、その半分はこちらサイド、つまりBrufordとHoldsworth組の貢献にあったことは、このBrufordの自然体な完成度の高さで証明されている。

実質のところ、音楽的リーダーは、言うまでもなく元Egg、HatfieldsのDave Stewartだ。
Bruford自身、「作曲の師匠」と公言している通り、このBrufordは1970年代、英国プログレの最終形態であると同時に、カンタベリーシーンで10年間、若手世代の中心として活躍してきた彼の音楽的集大成という感も強い。
当初は「カシオペアみたいだ」などと幼い不満を言っていたが、もちろんカシオペアの音楽性をあまり知らないで口にしていたにすぎない。アマチュア臭さ満載の1970年代、それまでのプログレに比べると、いかにも軽快で八分の力だけで流している余裕のBGMと感じられたが、それらも含めて今では決してマイナス評価の根拠にはならない。

これ以降、Brufordはじめ各メンバーが歩むことになるキャリアを知る今となっては、紛れもなくプログレであり、ロックであり、何よりプログレ愛好家にとってみれば最高にポップな「究極」だったと振り返ることになる。事実、これほど純度が高く、クオリティの高い音楽的境地は、それぞれのソロ活動でも遂に到達できなかった。
今でも新鮮、今でも心地よく聴ける、数少ないプログレの名作である。

結局は、やはりDave Stewartという人物の才能、センスではないかと思える。
万事ムード先攻のカンタベリー系にありながら、華やかな構築的なアレンジを好み、メロディーラインを含め輪郭のはっきりした音像をやたら指向する人だった。
UKとの差異は、極端な話、Dave StewartとEddie Jobsonのセンスの違いと言えるかもしれない。
個人的好みは、未だに甲乙つけがたい。

全編全曲がイッツ・パーフェクトの一語に尽きるし、思い出と思入れは際限ないが、クレジット上はHoldsworthの作と言えそうな、この曲でさえかくも深い叙情、そして若さゆえの過剰なまでの情報量である。やはり見かけによらず派手好きなDave Stewartのアレンジ力だろうか。そうだとしても、何か計り知れない神の恩寵があったと解釈せざるを得ない。

そう言えば、近年になって、RushのGeddy Leeが当時のインタビュー映像で、度々このアルバムをお気に入りとして語っているのを知った。当たり前と言えば、あまりに当たり前すぎる事実を裏付けるトピックだが、ファンとしては何ともうれしくなるような話ではないか。

今でもなお必ず無人島に持っていかなくてはならない、そういう黄金中の黄金の一枚である。