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No.44 【イタリアン・ロックの輝き】PFM『Suonare Suonare』から

イタリアン・ロックの輝き PFM
イタリアン・ロックの代表格と言えば、もちろんPFMである。
当然、自分が最初に知ったのもPFM、レコードを買ったのもPFMだ。1973年、EL&P主催のマンティコアレーベルを通して全世界に紹介された、あの『Photos of Ghost(幻の映像)』である。自分が購入したのは1984年春先である。

その後、大学時代までに1970年代のアルバムはすべて聴いた。
『甦る世界』、『ライブ・クック』、『チョコレート・キングス』はもの凄く聴き込んだ。
抒情派プログレの完成形、最高峰と思っていた。
その反動か、スタープレイヤーのマウロ・パガーニ脱退後のものは特に興味を感じなかったが、実際に聴いてみると、いずれも意外と味わい深いものがあった。
イタリアというアイデンティティへの回帰。
バンコやオルメ、ニュートロルスなど生き残った数少ない同志と同じ道をエリートのPFMも歩んだ。
本家ブリティッシュジェネシスやUK、イエスなども進路に悩んで試行錯誤を続けていた時期である。 

そして、海外(米国)進出の挫折から戻ったPFMが1970年代の最後に到達した境地が 『Suonare Suonare』、1980年作品である。
往年の仰々しさからは別バンドのようなカジュアルな作風だが、本当に別物だと割り切れば、これが実によく出来たポップロックなのだ。

専任のB.ランゼッティが抜けたヴォーカルは、チョッチョ、プレモーリ、ムッシーダの3人が等分に担当する。
この頃からチョッチョがバンドの顔として前面に出て民主主義的な体制が崩れるが、 ここではまだいいバランスである。
個人的な好みにすぎないかもしれないが、PFMのヴォーカルは何と言ってもプレモーリの声が味わい深い。
客観的にはビリー・ジョエルのような普通のバラードだが、何と言ってもPFMなのだ。そしてプレモーリの魅力を堪能できる珠玉の小品というところであろうか。
ずっと昔から大好きな一曲である。