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No.39 It Bites/Once Around The World(限りなき挑戦)

It Bites Album Review
1980年代後半。
全国1億2千万人のプログレ・ファン全員が待望していたリアルタイムな本物のプログレッジブ・ロック。
ポップだ、ショウビスだという批判はひとまず置くとして、イット・バイツが本作によってプログレ・ファンのそんな期待を満たしたことは間違いない。

アップ・トゥー・デイトなジェネシス
さすがにゲイブリエル時代とまでは言わないまでも、少なくとも『トリック・オブ・ザ・テイル』や『静寂の嵐』の頃の中期ジェネシスに匹敵するようなロマンティシズム溢れる世界である。

改めて聴き込むと、本当によく出来ている。
元ゴングのスティーブ・ヒレッジのプロデュースによる前半5曲は、決して華美になり過ぎず、重厚なロック・シンフォニーを、しかもコンパクトなポップ・ロックという形式の中でやり遂げている。
見上げたもの、と言わざるを得ない。

そして後半には一方踏み込んだ英国らしいファンタジー風味を利かせた大曲が並ぶ。
さりげなく凝った演奏が心憎い。
しかし、やはりジェネシスへのオマージュと言うべき標題曲が圧巻である。ここまで重層的に構築したのはジョン・ベックの趣味だろう。

同世代のポンプ・ロックとは次元の違う高みの境地を示した、1980年代を代表するプログレッシブ・ロックの名盤である。

1988年リリース。

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