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No.35 King Crimsonと私

キング・クリムゾンを知ったのは1982年の中学2年の冬だった。
大ヒット中のエイジアに夢中になった後、7歳上の兄のガイダンスを受けながらイエス、EL&P、UKと駆け足で遡り、必然的に『宮殿』に至った。
寒い冬、借りてきたレンタルレコードをカセットテープに録音して繰り返して過ごした。
中学生の無垢な感性は当然、ジャケットのイラストにも衝撃を受けたはずだが、それ以上にダブルジャケットのざらついた感触が鮮明に残っている。

キング・クリムゾンが、イエスやEL&Pより本家であり、玄人好みの本物だというのは、兄からのマインドコントロールもあってか、疑い入れない前提の認識であった。実際、ちょっととっつきにくい感じもしたが、音楽そのものは、メロディアスだし、メリハリある展開も普通にわかりやすかった。
自分が最初に聴いたのは、『宮殿』だが、その後はどうだったかと思い返してみると、次は1983年の夏、国内ポリドールから再発された後期クリムゾンのライブアルバム『USA』で、その後はベストアルバムの『新世紀への啓示』だった。
『USA』はUKのエディー・ジョブソンが参加しているのと、「21世紀の精神異常者」のライブバージョンを聴きたいというのが動機だったような気がする。ベストアルバムの方は市内のレコード店で入手した。写真集のようなものが付録として入っていた。今となっては何と云うことはないが、その当時は目が眩むほど貴重なものだった。
『宮殿』の曲ばかりで幻滅したが、『レッド』のタイトル曲と「暗黒」は程なくして屈指のお気に入りとなった。

その後は高校時代に入るが、『ポセイドンのめざめ』、『リザード』、『アイランド』、『太陽と戦慄』、『暗黒の世界』と、東京在住だった兄からのディストリビューションにより、なし崩し的ながら一通りは愛聴していたように思う。
兄は特に『アイランド』を気に入っていた。私もどこかセミクラシック的なロマンティシズムに惹かれた。
もう一つ、『宮殿』の延長線にある名盤として絶賛されていた『マクドナルド・アンド・ジャイルス』もマストアイテムとしてみずから購入して、お決まりの肩すかしを喰らった(やがて気に入るのも定石だが)。
恐らく北村昌士氏のクリムゾン本『至高の音宇宙を求めて』はすでに手元にあったはずである。

同じ頃、兄が“ニュークリムゾン”の二度目の来日公演に行ったが、当時の自分にとっては別物との認識であった。ブリューのヴォーカル、キャラクターに拒絶反応を覚えた。
で、『ディシプリン』における、ポピュラー音楽的革新性という真価を知ったのは数年後の大学時代である。

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