No.34 Il Volo/Essere O Non Essere?

イル・ヴォーロの音楽的独創性は、イタリアン・ロック広しと言えども、やはり抜群、独走と思う。
後にも先にも、この時にしかありえなかった未来志向のシンフォニック・ロック、その音楽イデーがほぼ完璧な形で結晶したのが、このセカンド・アルバムである。

ブリティッシュの名門を基軸とした類型的な分類から必ず抜け落ちる存在。
同時期のイタリアン・ロックを代表するアーティスト、例えば、PFM、バンコ、ゴブリン、ニュートロルス、オルメなどと比較しても、その独創性は突出している。何に近いかと言えば、個人的にはパット・メセニーを思い浮かべるのだが、いかがだろうか。

でこのセカンドはもう名実共に最高峰と言っていいだろう。やはり曲がコンパクトなのでイタリアン・ロックでお馴染みの仰々しい展開ではないが、じわりじわりと高揚した後にスピードの乗った軽快なリズムとギターのカッティングで明るいフレーズが繰り返される、さりげない構成美はやはり脱帽である。音楽的な独創性はさらに磨きが掛かって、演奏面も申し分なし。
わずかに残るヴォーカルはマリオ・ラヴェツィに委ねて、ラディウスは飛翔するかのごとき泣きのフレーズをひたすら弾きまくっている。そんなクールなインスト勝負でありながら、オープニングナンバーの邦題「愛に包まれて」のとおり、何よりも愛の温もりを感じさせるという不思議な孤高の逸品である。

(2009/12)