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No.32 Renaissance/A Song for All Seasons(四季)

自分が最初に聴いたルネッサンスは「燃ゆる灰」であったが、まだ粗削りさの残る初々しいアコースティックな作風は、イエスの構築美を期待していた未熟な耳には物足りなさを感じた。
その後のルネッサンスはアメリカ市場での成功も勝ち取って、まさしくイエスに匹敵するロック・シンフォニーの王道へと向かっていく。
アバが大人気を博していた時代。ポップ・ミュージックは格段の進化を遂げた。そんな時代の成熟を反映しながら、ルネッサンスが到達した一つの完成形態が、この「四季」であったと私は思う。
当時でもいささかアナクロニズムであったと思われる反時代的な文学志向を抑えて、より明確にポップ路線を示した結果は、華やかできらびやかなロック・シンフォニーとなった。
同時期のイエス、ジェネシス、キャメルなどにも共通する洗練されたアレンジメントの妙技は、中期ジェネシスのプロデューサー、デヴィッド・ヘンツェルの趣味を反映しつつ、ELOのアレンジも手掛けるルイス・クラークのオーケストレーションによって最高潮に達した
クリス・スクワイアを意識した、動きの激しいベースと、やはりデヴィッド・ヘンツェル好みの手数の多いドラムは、この時期のルネッサンスを象徴している。もうどこからどうみても堂々たるプログレである。何と言っても、英国風味を色濃く感じさせるオープニングチューンの「めざめ」から、畳みかけるリズムに導かれ、めまぐるしい展開を見せる「ドリーマー号の出航」への流れだ。
もちろんアニー・ハスラムの美声も若々しく、躍動している。
今、聴くと、改めて、この作品がルネッサンスの一つの到達点と思う。良くも悪くも彼らが目指していたのは、歴史と現代を架橋するような、こういう音楽世界であったであろうし、他には類例のない、きわめて独創的なものであった。
 
(2009/12)