No.30 Solstice/Silent Dance

1980年代に入って、プログレッシブ・ロックを確立した第一世代の名門バンドが表舞台から姿を消したのと入れ替わり、英国のアンダーグラウンドでは早くもその影響を受けた新たな世代のバンドが活動を本格化していた。ポンプ・ロックと呼ばれたその群像は先輩たちに比べると、いかにも凡庸で小粒な印象であったが、彼らの多くは今日まで堅実に活動を続ける長寿バンドであり、この間に着実に成長を遂げ、みずからの世界を確立するに至っている。

マリリオン、IQ、ペンドラゴン、パラス、トゥウェルフスナイトなどがその代表格として期待を集めたが、1980年代半ばまでは偉大な先輩の影響を脱する者は少なかった。そんな頃、頭一つ飛び出た新鋭が登場した。ソルスティスのサイレント・ダンス(静かなる舞踏)である。

女性ヴォーカルをフューチャーした編成はルネッサンスを連想させるが、よりシンフォニックであると同時に土着的なフォークロアの香りも濃厚に漂わせていた。キャラヴァンやハットフィールズといったカンタベリー系に通じる、英国らしいポップさも感じさせるが、凡そ新人らしからぬ貫録、また時代に対して超然とした高踏派の佇まいは何か音楽を超えた精神的な信条を共有する、ある種のコミュニティ的存在ではないかと思われた。同じ時代に活躍したThe Enidやサイケデリックなコミューンを形成していたGongなどに近い組織体である。
身近に仲間、同志を持つ芸術家は浮き沈みを繰り返す時流に対して強い。 彼らは今でもローカルながら地道に音楽活動を続けているようである。

(2009/12)