No.28 Bacamarte Depois Do Fim

南米ブラジルにもプログレッシブ・ロックが棲息している。そんなことが日本の愛好家で話題になったのは1983年頃か。やはりマーキー誌上でその高水準を証明する目玉アイテムとして紹介されたのがBacamarte(バカマルチ)である。ほとんど新作と言ってもいいタイミング、しかも欧米のメジャーシーンでは死滅したに等しいプログレッシブ・ロックである。それが人知れず世界の辺境で人知れずリアルタイムに生きていた、というのは何とも夢のある魅力的なストーリーであった。

元々ブラジルという国は、北米大陸には伝わらなかったヨーロッパ産の古典文化も数多く受け継いでいる。欧米のショウビスとは無関係な次元で音楽大国である。しかし、このBacamarteは女性ヴォーカルがソロ活動をしている以外、人脈的には孤高の存在。リーダーのMario Netoがずっと後に単身セカンドを発表したが、唯一このアルバムだけが不朽の名作として残されるのみである。

「Depois do Fim(終末の後に)」というタイトルからして彼等の世界観は明白であろう。音楽的にはよく言われるようにイタリアンロック、特に初期PFMの情熱と叙情性に近いものを感じる。演奏も録音も決して良くはないが、やはりほとばしるような熱さ、そして危ういほどに純粋な一途さは南米ならではの魅力である。

(2009/12)