No.20 Caravan/For Girls Who Grow Plump in the Night(夜ごとに太る女のために)

カンタベリー・シーンを代表する最古参、キャラヴァン。
そのいささか安易な感じのネーミングから推測されるとおり、今のわれわれが抱くプログレッシブ・ロックのシリアスで重いイメージとはかけ離れた無垢な軽さを備えた存在であった。

彼等の歴史は古く、ゴングやソフト・マシーンと同じワイルドホーシスというビート・ロックを母胎とする。同期生の仲間が皆、ジャズやクラシックの要素を取り入れ、シリアスな方向に走ったのに対し、キャラヴァンは1960年代以来のポップ感覚を持ち続けた。プログレなる概念がまだ未完成だった時代、そんなキャラヴァンが持ち前の軽妙さを活かしつつ、産み落とした傑作が『夜ごとに太る女のために』だった。
ほとんどはちょっと地味だが、普通のポップスとしても聴ける良質な小曲だが、最後の組曲『狩りへ行こう』だけはオーケストラを導入し、いかにもプログレらしいスケールの大きな展開を見せる。扇情的なリズムの激しさ、静と動の対比、劇的なクライマックスでの高揚。この一曲をもって、プログレ史上に輝く名作となった。

(2009/12)