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No.19 Yes/Close To The Edge(危機)

プログレ史上最高峰の名作、ということになるであろう。
1972年作品、だから37年前になるが、今だに古さを感じないと言ったら言いすぎであろうか。
世界中の多くのミュージシャンがこの作品に影響を受け、触発され、同じようなものを創り出そうとしてきたが、さすがにここまでの高みに達した者は居ない。というよりも、これを創ったイエス自身、この後、何度となく再現したが、これと同じレベルの作品を生み出せずに終わった。
豊富なキャリア、音楽的な理論・テクニック、機材・テクノロジー、録音技術・環境など、はるかに有利な好条件を揃えても、なおこの作品の持つ計り知れない完成度、勢い、調和、純度・精度に迫ることはできない。
こうなると、もはやこの音楽の主はイエスという実在を超えているとさえ思えてくる。
前作「Fragile」が大ヒットを記録し、一挙にスターダムに駆け上がり、前途洋々たるポジションにあった。とは云え、メンバーは全員二十代半ばの若者。当時のジョン・アンダーソンは独裁者だったとも云う。
そしてスタジオでの人間関係は文字どおり「危機」的状態にあった。
そんな個と個が激しくぶつかり合う中で、初めてかくも緊密で高度な構築美となったのであろう。未だに存在そのものが信じがたい名作である。

(2009/12)