No.18 Emerson Lake And Palmer/Brain Salad Surgery(恐怖の頭脳改革)

中学生の頃、EL&Pはやっぱりヒーローだった。 当時、EL&Pはすでに解散後、エマーソンが「幻魔大戦」で来日したり、グレッグの方もゲイリー・ムーアとの共演がそこそこ注目を集めていた。 カールはもちろんエイジアで成功の絶頂。 しかし、EL&Pの名前をメディアで目にすることは少なく、ELOのほうがむしろメジャーだった。 そんなタイミングでEL&Pの最高傑作『恐怖の頭脳改革』を聴いたものだから、私は「これこそプログレ最高峰だ」と興奮した。 何が魅力だったかと云えば、とにかく「速さ」に尽きると思う。すでにへヴィー・メタルにも熱狂していたが、「速さ」の質が違うと思った。やっぱり前のめりに突っ込み続けるようなカールのマーチングドラムである。それが、周りのことなど構わずエゴイスティックに暴走するようなキースの早弾きに付いていくから堪らない。おかげでこの後、しばらく「ドラムは手数が多くなければならない」と本気で思い込んでしまった。 それにしてもキース・エマーソンは本当に希代の天才である。初期シンセサイザーが秘めた凶暴な悪魔的魅力を引き出したのは彼一人の功績であろう。本作までのEL&Pは基本的にオルガン・ロックだが、ここに完全に音響効果のごとき禍々しいシンセサイザー音が絡みつく。ギーガーのジャケット、悪の経典などというキッチュな偽悪趣味、そして当時は華麗だった三人のルックス。 すべての要素が一つに結晶か。 (2009/12)