No.17 Kansas/Leftoverture(永遠の序曲)

カンサスの最も有名なヒットチューンと云えば、「伝承」と「すべては風の中に」。
Carry on My Wayward Sonを「伝承」と名付けてしまう言語センスは1970年代と言ってしまっていいのかどうか、よく判らないが、かなりキリスト教色が露骨な歌詞。これが一般に受け入れられるところはさすが人口90%がクリスチャンの米国ならでは。
われわれ日本人にはまあほとんど関係ない。とにかく精神主義的な構えは頼もしい。 「伝承」がオープニングを飾るアルバム「永遠の序曲」。老人音楽家の苦悩を描いたジャケットで彼等の志向はもう明らかだ。
こんなものがメジャーで支持されるなんて、今ではちょっと想像できない。
カンサスとして勝負に出た入魂の一枚。
全曲がバンドマスターのケリーリブグレンによる書き下ろし。初期3作品に多少見られたような田舎くさいサザン・ロック色は完全に一掃して、全編がツイン・ギター、ツインキーボードを駆使したロック・シンフォニーである。
その徹底的なプログレ志向はブリティッシュの本家、イエスやジェネシスルネッサンスなどとほぼ互角の完成度を誇る。
これは単純に演奏が上手とか、豊富な音楽的素養があったとかいうだけでなく、キリスト教的世界観に基づいた強固なコンセプトがあったればこそ、と思える。
音楽を通じて伝えたい熱いメッセージがあったはず。しかもそれが一般のヒットチャート上位にランキングされたこと自体、今となっては信じがたい驚異である。

(2009/12)