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No.81 Moon Safari / Lover's End 2010

Sweden Moon Safari
もちろん、だいぶ前からわが最愛のThe Flower Kingsの弟分として登場したMoon Safariという若いグループが、世代を超えてわが国のマニアを魅了していることは知っていた。
Amazonのダウンロードサービスで幾つかを聴いてもいた。
しかし、何気なく聞き流しただけで本腰を入れて向かい合うことはなかった。
考えてみれば、2010年以降、つまり今の話だ。
Moon Safari云々の前にそもそも音楽を本気で聞くという習慣がかなり薄らいで久しい。
子育て中心のノーマルな家庭生活で、音楽と言えば、カーステレオか通勤時間のiPodに限る。
それさえも危うい。音楽へのパトスを失いかけていた、というか、完全に失っている。

そんな中、Moon Safariが単独来日公演を果たし、しかもテレビのバラエティ番組で たまたま取り上げられたと言う。
ネット情報で知ってはいたが、どうということのトピックにすぎなかった。
ビジュアルにはIKEAライクな北欧人だ。

しかし、たまたま本気でMoon Safariを聴いてみた。
大学時代の旧友からの推薦だった。
いや正確にはMoon Safariを勧められたわけではなくて、今の世界各地の新世代プログレが凄いんだという話で、じゃあまずは人気沸騰、話題を集めているMoon Safariからちゃんと聞いてみようかと思って、腰を抜かした。

なんだ、The Flower Kings以上ではないか、と。
ビーチ・ボーイズなんて言うと、Pet Soundsだけを特別扱いしている身分からすると、その筋の大先輩方からすぐに怒られてしまうのだが、こっちエリアの感覚からすると、まあそんな感じだ。
ベースはやはりYesということになるのだろう。
しかし、今のレイドバックした老Yesなんかとはまるで比べ物にはならない。
Yesの絶頂期、1970年のThe Yes Albumから1977年の究極まで、あるいは1980年のDramaまではぎりぎり許容か。その時代の最高のYesの瑞々しい世界観。
それを1990年代後半のThe Flower Kingsのアンチ時代の反抗精神を経由して、超自然体で再構築してみせたのが、Moon Safariということになるだろうか。

Rick Wakemanの指癖も似せたキーボードワークも最高なのだが、なんと言っても曲だ。
メロディー、コーラス、アレンジ、リズム。
全部が絶品。
変拍子へのこだわりはただ事ではない。
しかし、自然体。
メンツは皆、少なくとも1980年代生まれなのだろう。

やってくれた。
理想のサウンド。
今のところ、やはり世界一。
しかし、本当に思う。
それ以上の音楽があるのだろうか。
グローバルでメジャーだとすれば、これ以外にないのではないか。
そう思ってしまう基本、メジャー志向の自分はやはりマージナルな異端児なのだろうか。
それほど、Moon Safariは、世界一の称号にふさわしい。

彼らがグラミー賞にならない世界は本当は理不尽なのだ。